在ハンガリー日本大使館 館員日誌
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平成21年(2009年) 12月 | 11月 | 10月 | 9月
出羽三山の山伏・精進料理の紹介
2011年10月24日
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行事終了後、左から3人目がリーダーの出羽三山神社神職(山伏)の吉住登志喜氏、左端が伊藤新吉料理長(拡大写真) |
10月19日,ブダペスト市にあるブダペスト商科大学・商業・ケータリング・観光学部の講堂において,国際交流基金の派遣事業として、山形・出羽三山の山伏文化と精進料理の紹介行事が行われ,大使夫妻と共に参加ました。
会場では,山形・庄内地方,出羽三山の山伏文化,精進料理の紹介、ホラ貝の実演、笹巻づくり体験コーナーの後,100名近くの来場者一人一人に出羽三山神社斎館の料理長の手による精進料理6品の弁当が配られ,肉中心のハンガリー料理とは全く異なる初めての精進料理を、皆珍しがりながらも大変おいしそうに試食していました。質疑応答でも、精進料理の食材や山伏の修行などについて多くの質問がなされ、今回の行事は、美しい自然に囲まれた日本の地方の魅力と、大震災後若干傷ついた感のある日本のイメージの回復をハンガリーの人々にアピールする上で、大変効果的でした。(広報・文化班:K.Y)
シュミット大統領のブリヂストン工場訪問
2011年10月21日
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正面玄関にて、左から4人目がシュミット大統領 |
10月19日、パール・シュミット大統領が、地方視察の一環として、タタバーニャ市近郊にあるブリヂストン社のタイヤ工場を訪問され、同社に招かれて伊藤大使と共に大統領一行をお出迎えしました。同工場については、昨年2月、このHPで紹介していますが(館員日誌)、シュミット大統領は、生産現場を回りながら、革新的なタイヤ生産システム「BIRD」にとても感心された様子で、完全に自動化された技術や品質管理等について熱心に質問されていました。
また、伊藤大使からは、大統領に対して日本企業の製造拠点分布図を示しつつハンガリー経済に対する日系企業全体の貢献について説明しましたが、そうした機会を与えて頂き、ブリジストンの皆さんに感謝致します。(経済班:Y.M)
ソンバトヘイ市での「日本の日」
2011年10月19日
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見事な瓦割りの技を披露する、ハ・日友好協会会員でもある剛柔流空手3段のガール・ローベルト氏。 |
10月15日,ブダペストから西へ約220kmにある,ソンバトヘイ市で行われたハンガリー・日本友好協会主催の日本文化紹介行事「日本の日」の開会式に伊藤大使と共に参加しました。今年も昨年同様の様々なプログラムが組まれ(館員日誌)、会場となった市内中心部の映画館は多くの人で賑わいましたが、今年は,ハ・日友好協会会長のヴィハル・ユディットさんによるアイヌ民話についての講義や、この9月から3ヶ月間の予定で外務本省から派遣されてブダペストで初心者向け日本語講座を行っているボランティア日本語教師の柳原恵里さんの日本語紹介レクチャーもあり,昨年にも増して多彩な日本紹介行事となりました。
なお、行事の合間に、国会議員でもあるプシュカーシュ市長と、今後の民間協力の進め方などについて懇談しました。(広報・文化班:K.Y)
ワイン生産地のトカイ訪問
2011年10月17日
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ひとつの房に、茶色い貴腐ブドウの粒と、通常の丸く緑の粒が混在しています。このうち前者のみを選り分けて収穫します。 |
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今回訪問したトカイのパトリシウス(Patricius)ワインヤードのワイン・セラー。石の壁に生えたカビが湿度・温度の維持に役立っています。 |
10月13日、ブダペストから東に約230キロ、スロバキア・ウクライナ双方との国境近くに位置するワインの町トカイ(Tokaj)を、伊藤大使夫妻と共に訪れました。ハンガリー政府は、ブダペスト在住の外交団を国内のワイン産地に毎年招待しており(昨年の館員日誌)、今回は農業担当のファゼカシュ地方開発大臣と外務省のホーバーリ次官補が同行して一緒にブドウの摘み取りを行いました。
トカイは、世界3大貴腐ワインのひとつ「トカイ・アスー」の生産地として有名であり、付近の丘陵地帯のブドウ畑の景観は世界文化遺産に指定されています。トカイで主に栽培されているブトウはフルミントと呼ばれる種類の白ブドウです。貴腐菌は、通常ブドウなどの植物を腐らせてしまいますが、特定の地域で、夏に晴れた日が多く秋に朝霧が発生するような一定の自然環境の下では、この菌が役割を変え、糖度の高い干しぶどうのような「貴腐ブドウ」を作り出します。トカイの貴腐ワインは、17世紀の半ばにトルコ軍の来襲によりブドウの収穫が遅れてしまったために偶然に出来上がったと言われており、世界最古の貴腐ワインとされています。当日、房から一粒ずつ貴腐ブドウをもぎ取るのは大変手間のかかる作業でしたが、手がベトつくほどに糖度が高いことは興味深いことでした。強い甘みと芳醇な香りをもち、日本でもデザート・ワインとして広く楽しまれているトカイ・ワインの元となる貴腐ブドウの収穫に参加出来たことは、ハンガリーならではの貴重な体験でした。(経済班:N.A)
アニメ愛好者イベントMondConへの参加
2011年10月17日
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会場では、5月の「世界子供の日」で大人気を博した書道デモンストレーション(館員日誌)も行いました |
10月8日、当地のアニメ雑誌Mondoが主催して毎年春・秋2回開催されているアニメ・コスプレ愛好者たちのイベントMondoConに参加しました。アニメ・コスプレは、「日本で発祥した新しい文化」として欧州各地で若者の人気を集めていますが、ハンガリーもその例に漏れず、ブダペスト見本市会場(hungexpo)では、アニメやコスプレ、J-ROCKを愛する若者たちの熱気で圧倒されるような雰囲気でした。
当広報・文化班は、当日和風グッズや漫画本、コスプレや日本のビジュアル系バンドのグッズなどが販売されていた会場内の一角にテーブルを借り、ハンガリー人の元日本留学生やとボランティア日本語教師の方々に協力して頂きながら、日本の広報資料や国費留学生制度の紹介資料の配付と説明を行いました。会場の若者達は、将来日本語を学んだり日本への留学を希望するようになったりする可能性もあり、今後も機会があれば、こういったイベントに積極的に参加していきたいと思っています。(広報・文化班:K.Y)
世界遺産ホッロークー村訪問
2011年10月8日
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小野寺・日本・ハンガリー友好協会山形県支部長(後列右から4人目)ら友好協会山形県支部の皆さんと共に(拡大写真) |
10月8日、国会議員でハンガリー・日本友好議員連盟メンバーでもあるサボー・ホッロークー村長に招待され、伊藤大使夫妻と共にブダペストの北東約100Kmの同村で開催された「葡萄収穫祭」に参加しました。人口400人弱のホッロークー村は、1987年に村として世界初のユネスコの世界遺産に登録されました。日本のメディアでも広く紹介され、ハンガリーの伝統的村落を見ようと毎年日本からも多くの観光客が訪れています。今回、偶然にもハンガリーを旅行中の日ハ友好協会の一行と村で遭遇しました。また、唯一の村の小学校の存続を助けるため、東京港区の中小企業の団体が財政的支援を行ってきています。高齢化が進むホッロークーは、観光振興によって伝統と文化を守り後世に伝えていこうとしていますが、サボー村長らの努力が報われるよう、一人でも多くの人がホッロークー村を訪れて欲しいと思いました。(儀典K.K)
「哲学の庭」建立10周年式典
2011年10月5日
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謝辞を述べる和久奈ちよ・ワグナー・ナンドール夫人 |
10月5日、ブダペストのペトフィ文学館のホールで、「哲学の庭」建立10周年記念式典が開催されました。世界遺産地域のゲレルトの丘にある「哲学の庭」は、晩年日本に帰化したハンガリー人の彫刻家ワグナー・ナンドール氏が製作した世界の宗教家・思想家の彫像8体から成り、世界平和の実現を願う作者の強い思いが込められた作品です(館員日誌)。私は、祝辞の中で、「この10年間振り返ると、9.11同時多発テロなど世界各地でテロや武力紛争が頻発し、残念ながら『哲学の庭』の理想の実現は、却って遠ざかってしまったように思えるが、ナンドール氏自身、『哲学の庭』の思想が理解されることは、21世紀にはなく、おそらく22世紀になってからだろうと述べておられる通り、今回の10周年の節目は、長い道のりの第一歩に過ぎず、我々はナンドール氏の理想を後世の世代に伝え続けていかなければならない」旨述べました。(館長T.I.)