在ハンガリー日本大使館 館員日誌
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ハンガリー日本友好議員連盟と日本商工会との意見交換
2010年11月30日
挨拶する山口真介会長(DENSOハンガリー社長)と商工会幹部の方々 |
11月30日、国会議事堂内でハンガリー日本友好議員連盟の第三回会合が開催され、伊藤大使、館員とともに出席しました。同会合には、国会会期中にもかかわらず、13名もの議員に参加いただきました。 (館員日誌:第一回会合、第二回会合)
大使公邸で開かれた第二回会合の際に日系企業支援に一役買いたいと抱負を述べられたホルヴァート新会長のイニシアティブにより、今回は、日本商工会を招いての意見交換の場となりました。商工会側からは、当地日系企業が抱える問題点につき、特に労働倫理の問題を中心に説明が行われました。ハンガリーでは、社会主義時代の継続で、病欠、産休、有給休暇の制度が労働者に極めて手厚いことから、日常的に多くの欠勤者を抱えている企業側の悩みが率直に伝えられると、議員側からは、共感の声が少からず示される一方で、産休については、高齢化・少子化対策の一環として手厚い育児休暇制度は当然とする意見も述べられ、減少傾向にある人口が1千万の大台を割ることを防ぎたいハンガリー側の事情を窺い知ることができました。
こうした会合を通じ、日系企業が直面している問題について議員の理解が深まり、議会での法案審議の過程で商工会の提言が少しでも反映されていくことを期待しています。(政務班 H.K.)
大使公邸でのチャリティー・コンサート
2010年11月29日
コンサートに出演した学生さん、教授達と共に(拡大写真) |
ピアノ三重奏曲を演奏する3人の教授 |
11月26日、大使公邸で、リスト音楽院の日本人学生が出演したチャリティー・コンサートが開催されました。
リスト音楽院は、有名なハンガリー人の作曲家リスト・フェレンツによって1875年にブダペストに設立されたハンガリー最高峰の音楽教育機関です。現在同音楽院では83人の外国人学生が学んでいますが、そのうちの半数近い38人が日本からの留学生です。今回のコンサートでは、その中から選ばれた6人の学生さん(ピアノ・バイオリン・チェロ各2名)が、それぞれ素晴らしい演奏を披露して、客席から拍手喝采を受けていました。また、プログラムの最後には、リスト音楽院の3人の学科主任教授(ピアノのProf. Falvai、バイオリンの Prof. Szabadi、チェロのProf. Onczai)が、特別にTrioの共演をしてくれ、サロンに響き渡ったベートーベンのピアノ3重奏曲の美しい音色は、全ての観客を魅了しました。
このコンサートは、外交団配偶者の会(DSB; Diplomatic Spouses Budapest)の慈善事業の一環として開かれたもので、収益は全額ハンガリーの慈善団体(障害児やロマ人の子供たちの養護施設、家庭内暴力の被害者のための保護施設など)に寄付されます。コンサートには、70数名の方々に参加頂き、貴重な寄付を頂戴し、チャリティー・イベントとして大成功を収めましたが、同時に、リスト音楽院で学ぶ日本の留学生の水準の高さを観客に知って頂くことが出来て、学生さんたちにとっても大きな励みになったのではないかと思います。コンサートの開催に協力して頂いた3人の教授に感謝致します。(館長 T.I.)
「日本・ハンガリー人生の樹小学校」行事への出席
2010年11月25日
俳画の講義を受ける生徒達(前列)とコーマーリ校長(中央)と日・ハンガリー教育交流会会員の方々 |
11月25日,ブダペストから西へ150キロ,バラトン湖の西端に位置するケストヘイ市の「日本・ハンガリー人生の樹小学校」を訪問しました。
この小学校は,同小学校の前身である幼稚園の特徴ある教育に高い関心を示した日本人教育関係者の方々の寄付により,1997年に幼小一貫教育校として設立され,上記の名前が付けられました。小学校の生徒数は現在57人で,現在も,「日本・ハンガリー教育交流会」(厚木市)による支援と交流が行われており,当日の行事「人生の樹の日」にも,同交流会員の方々が書道,琴演奏,茶道等の講師として参加し,その他,生徒達による日・ハンガリーのわらべ歌の披露や,俳画の講義も行われました。
教室を訪れた私達に,生徒達は元気よく「こんにちは」と声をかけてくれました。この学校で教育を受けた子供達は将来に向けて日本のよき理解者となってくれると思います。このような形で日本とハンガリーとの交流促進に尽くしている日本の教育関係者の方々に敬意を表したいと思います。(次席:Y.A.)
ミツバへの訪問
2010年11月24日
幹部社員の方と正面玄関にて |
11月24日、ミツバ(正式社名:Mitsuba Automotive Systems of Europe Kft.、従業員数:約130名)を訪問しました。親会社のミツバは、1946年に群馬県桐生市に三ツ葉電機製作所として設立され、当初は自転車用発電ランプの製造からスタートしましたが、現在は世界30数ヶ国に拠点を有し、自動車等の輸送機器関連事業を中心に展開しています。そして、二輪のスタータの分野では世界でトップシェアを有する会社です。ハンガリーのミツバは、2001年、シャルゴータリアーン市(ブダペストの北東約100km)に設立され、自動車ワイパー、パワーウィンド等、モーターを使った応用製品を製造し、ハンガリーや他のEU諸国の自動車会社に販売しています。
工場では、一日一改善を目標に日々、品質向上に努めており、それらが納入先の自動車会社からのベスト・サプライヤー賞の連続受賞等に繋がっていると感じました。また、日本人経営陣によるイニシアティブの元、積極的に従業員教育やコミュニケーション向上のための活動を行っていることも印象的でした。(経済班:H.K.)
ヴェスプレームでのマスク贈呈式
2010年11月24日
コヴァーチ副議長(中央)及びハプスブルグ社長(右から2人目)にマスクを贈呈 |
赤泥流出被害を受けた現地の状況(11月12日撮影) |
11月23日、ブダペストから西へ約120kmのヴェスプレーム市の県庁舎において、緊急支援のマスク9万枚の贈呈式が行われ、挨拶した伊藤大使と共に出席しました。
10月4日にヴェスプレーム市から西約27kmのアイカ村にあるアルミナ工場の産業廃棄物貯蔵池が決壊し、百万立米もの有害な「赤泥」が流出した事故は、日本でも広く報道されましたが、この事故は10人の犠牲者と300人の負傷者を生み、数百戸の家屋が破壊され、周辺の河川の生態系が全滅する惨事となりました(館員日誌)。こうした中、地元からの要望に応え、ヴェスプレーム県と10年以上にわたり友好交流を続けている岐阜県のハンガリー友好協会と岐阜エリアのライオンズクラブは、乾燥した赤泥から舞い上がる粉塵による健康被害から現地の住民を守るため、マスク約42万枚(250万円相当)の支援を決定し、今回その第一便9万枚が現地に到着し、この贈呈式が行われました。
式では、岐阜側からのメッセージを伊藤大使が代読し、出席したヴェスプレーム県議会のコヴァーチ副議長、ハンガリー赤十字社のハプスブルグ社長及びハ・日友好協会ヴェスプレーム支部のクティッチ支部長から深甚なる謝意が述べられました。現地では今なお懸命の復旧作業が続いており、在ハンガリー日系企業を含む諸外国からの義捐金や支援物資も集まってきています。こうした活動が功を奏し、住民の方々が1日も早く以前の生活を取り戻せるよう心から願っています。(広報文化班:S.S.)
ソンバトヘイ市での「日本の日」
2010年11月23日
折り紙をする子供たち |
11月20日、ブダペストから西へ約220km,オーストリア国境近くのソンバトヘイ市で行われた第2回「日本の日」の開会式に伊藤大使と共に参加しました。
ソンバトヘイ市は,古代ローマ時代にはサヴァリアと呼ばれ,ハンガリーで最も古い都市であると言われています。中世になると,毎週土曜日に街の中心広場で市場が開かれたところからソンバトヘイ(ソンバトは土曜日,ヘイは場所を意味する)と呼ばれるようになりました。ハンガリーは、第二次世界大戦では日独伊三国同盟に加わり戦いましたが、大戦末期の米・英軍の空爆により、ソンバトヘイは町の3分の2が破壊されました。エステルゴム,エゲルにあるものに次いでハンガリーで3番目に大きい大聖堂も,ドーム部分を残して全て破壊され,戦後になってから修復されたそうです。
今回行われた「日本の日」は,2年前に設立されたハ日友好協会ソンバトヘイ支部が主催したもので,会場となった映画館では,生け花デモンストレーション,着物紹介,折り紙・塗り絵ワークショップ,書道,武道実演,アニメ映画上映会,太鼓コンサートなどを見に,多くの人でにぎわっていました。(広報・文化班:K.Y.)
ブダペスト商科大学短期研修
2010年11月10日
成果発表を行う学生たち |
11月10日、城西大学の学生がブダペスト商科大学を訪れて約1週間に渡って実施されていた、異文化コミュニケーション短期研修プログラムの成果発表会に参加してきました。
学校法人城西大学とブダペスト商科大学は、2007年1月に学術交流協定を締結して以来、活発な交流を行っています(館員日誌)。今回の短期研修には、城西大学現代政策学部から11名の学生が参加し、ブダペスト商科大学国際経営学部で日本語を勉強している学生たちと積極的に交流しながら、日本とハンガリーの文化についてのお互いの理解を深めました。
この日は、研修プログラムの仕上げとして、双方の学生が協力してまとめた研修成果の発表が行われ、ハンガリー人学生が日本語で、日本人学生が英語で、皆で役割分担しながら一生懸命に発表する姿が大変印象的でした。このような経験を通じて学生たちが大きく成長し、将来、日・ハンガリーの架け橋として活躍されることを心から期待しています。(広報文化班:S.S.)
HOYA Vision Care教育研修センター開所式
2010年11月9日
研修室の一角に設置された最新の日本製検査用機器 |
11月9日、欧州大陸最初の地下鉄M1号線や買い物客で賑わう歩行者天国のヴァーツィ通りの基点となるヴルシュマルティ広場の一角に設けられた、HOYA Vision Care教育研修センター(HOYA Faculty Experience & Education Centre)の開所式に祝辞を述べた伊藤大使と共に出席しました。HOYA社は日本国内初の光学ガラス専門メーカーとして1941年に設立され、現在では眼鏡レンズの分野で日本国内トップであるとともに、半導体材料の製造などで世界的にも高いシェアを有する企業です。同社は多くの海外拠点を有していますが、ハンガリーの子会社2社は、レンズの国内市場で第1位のシェアを占めると共に、ロシア・東欧や中東向けのレンズ供給拠点となっています。今回開所した研修センターは、ハンガリーだけでなく、欧州全域からの眼科医、検眼士、眼鏡技師などを受け入れ、老眼対策に焦点を絞って最新の技術を提供することを目的としています。センター内には複数の研修室や会議室が設けられ、真新しいパソコンや検眼用機器などが設置されていました。今後この施設で研修を受ける方々が同社の有する高い技術を身につけ、それぞれの国の人々の目の健康に貢献されるよう期待したいと思います。(経済班:S.H.)
ビジネス・セミナー
2010年11月4日
ヴェルテシュ所長(左から3人目)、ジェトロ及び商工会幹部と共に |
11月3日、「ハンガリー経済の現状と2011年、中期予想」と題するセミナーに出席し、大使館を代表して挨拶しました。このセミナーは、ジェトロ・ブダペストとハンガリー日本商工会が主催し、大使館が後援して、主に日系企業幹部を対象に実施されたものです。講師を務めたヴェルテシュ氏はハンガリー最大の経済シンクタンクGKI社の所長で、エコノミストとして国内外で大活躍されている方です。ハンガリーでは、4月の総選挙で政権獲得したフィデスが矢継ぎ早に様々な経済政策を発表する一方で、経済情勢は依然として厳しく中期的な見通しがしづらい状況ですが、ヴェルテシュ所長が統計データを活用しながら非常に分かり易く解説され、参加された方々にとって日々の事業活動を行う上で大変有意義なセミナーでした。(経済班:H.K.)
ダイヤモンド電機への訪問
2010年11月3日
日本人幹部の方と正面玄関にて |
11月3日、ダイヤモンド電機ハンガリー(正式社名:Diamond Electric Magyarorszag、従業員数:約110名)を訪問しました。
親会社のダイヤモンド電機(本社:大阪市)は、1937年、我が国初の点火コイル(自動車エンジン始動時、放電に必要な高電圧を供給するための変圧器)メーカーとして設立され、現在では自動車用点火コイルで世界第2位のシェアを有しています。また同社は、車載用エレクトロニクス部品及びエアコンのコントローラなどの家電関連部品も製造しています。その欧州唯一の製造拠点であるダイヤモンド電機ハンガリーは、2000年、ブダペスト市の北西 約50kmに位置するエステルゴム市に設立されました。同社日本人幹部の方からは、ハンガリーの労働者は概して基礎教育レベルが高く、勤勉で質が高いとのお話を伺いました。清掃が行き届いた明るい工場内では、ハンガリー人の従業員が真剣に作業に従事していました。(経済班:S.H.)