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我が国との関係

(1)政治関係 (2)経済関係 (3)文化関係 (4)領事関係

【(1)政治関係】

(イ)伝統的友好関係

我が国とハンガリーの外交関係は、「オーストリア・ハンガリー二重帝国」時代の1869年に開設された。第二次世界大戦後は、60年に相互に公使館を開設、64年には大使館に昇格された。ハンガリーが体制転換を遂げた89年以降は、我が国による改革支援もあり、両国関係は飛躍的に進展した。

(ロ)要人往来・政治的対話

両国間の要人往来、政治的対話は活発である。元首級の相互訪問として2000年4月にゲンツ大統領が国賓として訪日(なおゲンツ大統領は90年11月にも即位の礼に出席のため訪日している)、2002年7月には天皇皇后両陛下がハンガリーを公式訪問された。首相としては、ハンガリーより85年9月ラーザール首相(公賓)、91年9月アンタル首相、95年12月ホルン首相が訪日した他、2004年10月には、就任直後のジュルチャーニ首相が訪日して対日関係を重視する姿勢を示し、小泉総理との首脳会談後には共同声明を発表した。我が方からは90年1月海部総理がハンガリーを訪問し改革支援を明確にして両国関係発展の端緒を開いた。

外相レベルでは我が方から89年11月中山外相、95年4月河野副総理兼外相、2007年1月麻生外相がハンガリーを訪問。ハンガリー側よりは92年12月イェセンスキ外相、97年4月コヴァーチ外相、99年10月マルトニ外相、2003年11月コヴァーチ外相、2005年5月ショモジ外相(ASEM外相会合出席のため)、2008年3月ゲンツ外相が訪日している。

この他、85年4月には英国御修学中の浩宮殿下(現皇太子殿下)が、94年11月には高円宮同妃両殿下がハンガリーを訪問された。また、2002年10月には清子内親王殿下が欧州訪問途中の飛行機乗り継ぎのため当地を経由された。

両国は、対等かつ重要なパートナーとして、国連改革や日欧協力など、二国間関係にとどまらない国際社会における協力関係をなお一層推進することが期待されている。

(ハ)議会間交流・友好議連

議長レベルの訪問としては、我が方から1972年河野参議院議長、ハンガリーからは75年アプロー議長の訪日が最初である。 体制転換後、我が国からは、92年に桜内衆議院議長、2000年8月に斎藤参議院議長が、ハンガリーからは91年サバド議長、97年ガール議長、99年3月アーデル議長の訪問があり、議会間の交流が活発化した。2005年11月には参議院議長の招待によりシリ議長が訪日、56年革命50周年記念を間近に控えた2006年9月にはシリ議長の招待により河野衆議院議長がハンガリーを公式訪問した。なお、2005年6月にはネーメト外務委員長が訪日している。

参議院では73年日本・ハンガリー友好議員連盟が発足、現会長は竹山裕議員である。衆議院では74年「衆議院日本・ハンガリー友好議員連盟」が設立され、2000年3月、その名称を「日本・ハンガリー友好議員連盟」と改称した。現会長は中山太郎議員。

ハンガリー側はシリ国会議長を名誉会長、コチ社会党議員を会長とする計19名のメンバーから成るハンガリー・日本友好議員連盟を有する。


【(2)経済関係】

(イ)良好な経済関係 

中東欧諸国の中でも早くから構造改革に着手したこともあり、他の中東欧諸国に比べ日系企業進出が進み、良好な関係を築いてきた。両国間の2007年の貿易総額は約22億ユーロ(邦貨3,619億円)(日本への輸出:2.9億ユーロ、日本から輸入:19億ユーロ)に達している。 日本からの輸出の主な品目としては電気機器・機械装置及びその部分品、並びに自動車及びその部分品となっており、また、ハンガリーからの輸入の主な品目は電気機器、肉類等食料品、並びに車両関連品、化学製品等となっている。貿易収支は91年以降の我が国の輸出超となっているが、これは日系企業の進出に伴って我が国からの機械・部品等の輸入が増加していることに起因している。

2006年の日本からハンガリーへの直接投資額は約8,040万ユーロに上り、同年末現在での直接投資残高は約6.9億ユーロ(出典:ハンガリー中央銀行)。新たな企業の進出は落ち着きつつあるものの、既進出企業の事業拡大に伴う追加投資は積極的に行われており、今後も引き続き直接投資が高い水準で推移することが期待される。

ハンガリーにおける日系企業数は2007年6月時点で110社(JETRO調べ)、製造業での主な進出企業には、マジャール・スズキ、デンソー、アルパイン、三洋電機、イビデン、ソニー、旭硝子等がある。

(ロ)改革支援・経済協力

我が国はハンガリーの民主化、市場経済化を支援するため、ODA等を通して、資金、技術協力を中心に種々の支援、協力を行ってきた。これまで我が国による資金協力としては、構造調整融資などの輸銀融資が8.43億ドル、環境案件に対する円借款49億円、また、JICAを通じた技術協力として、環境、医療、中小企業育成等を中心に、研修員受入が800名、専門家の派遣が103名、開発調査、機材供与、プロジェクト型協力等総額約77億円(2006年3月末)の支援を実施し、ハンガリーの発展に大きく貢献してきた。

しかし、ハンガリーがEUに加盟したこと等から、民主化、市場経済化支援という目標は果たされたとして、ハンガリーに対するODAは終了し、今後は対等な立場での2国間の協力が期待されている。また、ハンガリー政府はODAドナーとしての活動も行っており、2008年3月には日本の草の根無償がアフガニスタンで活動しているハンガリーNGOに供与される等、2国間の開発援助協力も開始されている。なお、ハンガリーに対するODA終了に伴い、2007年12月に当地のJICA駐在員事務所は閉所された。

(ハ)中・東欧地域環境センター(REC)に対する協力

RECは、当時のブッシュ米国大統領の提唱により、深刻化していた中・東欧諸国の環境汚染への対処及び環境分野を通じた民主化支援を目的として、1990年にハンガリーに設立された機関である。日本政府は、1990年より署名国となり同機関に支援をしており、これまでの累計拠出額は約1300万ユーロに上っている。同拠出金により設立された日本特別基金では、中・東欧の環境改善に資する様々なプロジェクトを実施してきた。また、同基金管理のため日本人専門家をRECに派遣してきた(ハンガリーへのODA終了にともない、現在空席中)ほか、最高意志決定機関である理事会に対して理事を派遣している。

(ニ)2国間でのグリーン投資スキーム(GIS)の実施

2007年12月、日・ハンガリー政府は、GIS実施に関するメモランダムを結んだが、これはGIS実施に関して日本政府が他国との間で締結した初めての文書である。現在、排出権取引実施に向け、取引量や金額等の詳細を二国間で交渉中である。


【(3)文化関係】

(イ)留学生・言語学習等

両国政府は1973年文化交流取極を締結した。 それに先立ち、我が国は65年から、ハンガリー側は66年から研究留学生の受け入れを開始、我が国は日本語・日本文化研修留学生、学部留学生を含めて毎年20名程度のハンガリー人国費留学生を受け入れている。また、2006年度からは教員研修留学生制度を導入した。一方、ハンガリーでは3校の初等学校を含め、高校、大学など31の教育機関で日本語教育が実施されている。後述のJOCV日本語教師隊員の撤退を受け、地方における日本語教育の中核的機関が減少しつつある現状においても、日本語学習者数は現在約1400人を数え(2007年12月現在、国際交流基金調査)、「日本・ハンガリー協力フォーラム」の成果である日本語教育支援事業等も大きな役割を果たしている。我が国では、大阪大学外国語学部にハンガリー語専攻(一学年定員15名)がある。

(ロ)民主化後の我が国政府の施策

我が国はハンガリーを含む中・東欧諸国に対する民主化支援の一環として文化面での交流を促進するため、1991年中・東欧地域では唯一の国際交流基金事務所をブダペストに開設した。同年、青年海外協力隊派遣取極もハンガリーと締結、これまで日本語教師、武道の指導員等120人以上の隊員を派遣してきた(なお、ハンガリーへのJOCV派遣は2007年をもって終了)。更に同年、我が国はハンガリーを文化無償資金協力の対象国とし、国立交響楽団に楽器を供与して以来現在までに累積で15件(含む草の根文化無償資金協力)の協力を行ってきた(なお、ハンガリーは日本の無償援助対象国から2004年度に卒業)。一方で、日本語教育分野においては、JOCV撤退後も日本語教育の維持・発展に向けた支援の要望が強く、2008年度より日本語教育及び日本文化発信を行う新たなボランティアプログラム(「日本文化発信隊」)の創設が予定されている。

当館及び国際交流基金ブダペスト事務所は、展示、公演、デモンストレーション、知的交流など日本文化紹介及び文化交流事業を実施している。

なお2005年は日・EU市民交流年として、ゲンツ前大統領を名誉委員長、コーシャ議員(友好議連議長(当時))、稲川大使(当時)を顧問とするハンガリーでの実行委員会を設立し、約90の文化行事を主とした各種行事を開催した。

また、来るべき2009年は、日本とハンガリーとの国交樹立140周年兼外交関係再開50周年に当たっており、文化面でも大型周年事業「日・ドナウ交流年」として、数多くの行事開催が予定されている。

(ハ)友好協会の活動

民間文化交流の中心団体である両国の友好協会については、日本側は1971年、ハンガリー側は87年に設立された(日本側会長:河野議長、ハンガリー側会長:ビハル・ユディット)。これら双方の友好協会が中心となり、1996年にはハンガリー人定住1100年を記念した「ジャパン・フェスティバル」をハンガリーで、2000年1月から年末までハンガリ-建国1000年を記念した「ハンガリー・フェスティバル」を本邦で開催した。さらに2004年は両国の友好協会が協力した第4回目となる「ジャパン・フェスティバル」が当国で実施された。なお、2007年は、ハンガリー・日本友好協会設立20周年を迎え、9月には同協会本部主催による記念式典(含む太鼓、俳句、尺八等の日本紹介文化行事)が華々しく開催された他、同協会地方支部主催による日本関連行事も縷々実施された。

(ニ)地方自治体交流

富山県文化芸術協会とデブレツェン市(及びハイドゥー・ビハル県)は1983年以来の交流実績を持つほか、1990年代後半より正式に姉妹都市提携、文化協力協定などの自治体間提携を持つ地方自治体が増加してきており、現在、(a)秋田県鹿角市とショプロン市、(b)秋田県由利本荘市とヴァーツ市、(c)山形県遊佐町とソルノク市、(d)青森県青森市とケチケメート市、(e)秋田県湯沢市とチュルゴー市が、それぞれ合意された自治体提携を有している。

また、岐阜県とヴェスプレーム県、秋田県とブダペスト市(特に12区)、大阪府とブダペスト市、富山県とデブレツェン市、鹿児島県とショモジ県、 山形県鶴岡市とミシュコルツ市、ヴィシェグラード市、山形県遊佐町とソルノク市などの間での交流もある。

(ホ)最近行われた文化行事

「日・EU市民交流年」となった2005年は、交流年のオープニングとして1月に鬼太鼓座による公演が行われ好評を博した。3月にはリスト音楽院で日本人留学生とハンガリー人音楽学生との演奏会が行われた。5月には、ハイドン交響楽団(オーストリア人とハンガリー人の楽団員で構成、指揮者はハンガリー人)とバイオリン・ソリスト服部譲二氏による演奏会、鈴木春朝、師田久子「書」専門家による講演・デモンストレーションとワークショップ、故大野初子女史製作による初音人形の日本人形展が行われた。6月には千玄室裏千家大宗匠一行が来訪され、大統領府でのマードル大統領夫妻へのご献茶、国会議事堂でのシリ国会議長はじめ国会議員への茶道講話・デモンストレーション、英雄広場でのハンガリー歴史上の英雄達への献茶式を行われた。また6月末には池澤草月流師範・理事が来訪、マードル大統領夫人への生花デモンストレーションを行った。更に、9月には沖縄歌舞劇団「美」を迎えて沖縄歌舞劇団公演が実施され、10月は、「日本文化月間」の位置づけの下、欧州での貴重な公演機会となり連日満員となった「文楽公演」、指揮者アシュケナージを擁し武満徹氏の作品も演奏した「NHK交響楽団演奏会」、葛飾北斎と歌川広重の浮世絵作品及び写真家富塚晴夫氏による富士山の写真をコレクションした「富士山 浮世絵・写真展」(11月中旬迄展示)等が実施された。11月には、ハンガリーに留まらずEU諸国との関係も視野に入れ、チェコ人音楽グループ「グアルネリトリオ」と日本人ピアニスト関野直樹氏による音楽コンサートを当地で開催した。

昨年、2007年は、3月に、恒例のリスト音楽院(日本人留学生約80名在籍)における日・ハ音楽生交流コンサートの他、ブダペスト・フェアセンターにおける生花デモンストレーションが開催され、共に大勢の来客者で賑わい、5月には、「子供のための日本DAY」(於:未来の館)及び「世界子供の日ワークショップ」(於:ネープリゲト市民公園)という2つの児童・青少年を対象にした日本紹介イベントが盛大に行われた他、11月には当地日本語学習者がその日頃の成果を披露する場として毎年恒例の「日本語スピーチコンテスト」が満場の来客者の下開かれ、また、12月には、当国の中核地方都市の一つでもあり、又、我が国との友好都市の一つであるニーレジハーザ市で「合唱コンサート「日本音楽の夕べ」」が、国内外で有名な同市のカンテムス合唱団との共催にて実施された。

2008年は、2月に「日本フレンズ交流イベント」として元留学生や各種親日グループとの交流イベントが開催され、3月には、恒例の日・ハ音楽生交流コンサートの他、ブダペスト・フェアセンターにおいて、 生け花&和太鼓デモンストレーションが行われ、特に満場となった和太鼓のパフォーマンスは、観客の拍手と熱気に包まれた。 また、5月には、「東京国際和太鼓コンテスト」で二度も最優秀賞に輝いている「鬼島太鼓」が、首都ブダペストの他、ミシュコルツ市とソンバトヘイ市で和太鼓公演ツアーを行い、大成功を収めた。特に、ブダペスト公演は、ハンガリーで最大の収容人数を誇る芸術宮殿が満席となったばかりでなく(最終的に観客数は約1,600名)、シリ国会議長、コーカSZDSZ党首、各国大使等が列席する意義深い行事となった。更には5月、日本への留学経験を有する元留学生がハンガリーへ進出している日系企業との情報交換を行う就職セミナーが大使館多目的ホールにおいて開催された。


【(4)領事関係】

日本とハンガリーとの間には、他の中・東欧諸国に先立ち、1992年に外交・公用旅券所持者に関し、また、1997年夏には一般旅券所持者についても、査証及び査証手数料の相互免除取極が締結されたので、両国の国民が相互に訪問することが容易になった。

その結果、ハンガリーを訪れる日本人旅行者の人数は増加しており、2007年には年間約9万6千人に達した。

在留邦人数は、特に日系企業の進出に伴い近年急増し、2008年5月現在約1,200人となっている。

在留邦人の約7割強が首都ブダペスト市に集中して居住しているが、日系企業は国内各地にも進出しているので、地方に居住する在留邦人も増える見込である。

在留邦人の内訳は、民間企業関係者が半数以上を占めており、また、音楽関係の留学生も多く、国際結婚などによる永住者(約200人)もいる。

海外子女教育については、現地日本人商工会が中心となって、従来あった準全日制補習校(ブダペスト日本人補習授業校)を全日制日本人学校へ発展的解消を図り、2005年3月補習校は閉校となったが、2005年4月より新たに在ハンガリー日本国大使館附属ブダペスト日本人学校が開校した。なお、日本人学校には、日本の文部科学省から教員が派遣(計10人)されており、約100人の児童・生徒が在籍している